アブラムシ
1.加害状況
アブラムシは新芽、花蕾、若葉に多数群生して吸汁加害するため、枝の伸長や花蕾の発達が悪くなり、葉はよじれて変形します。
また体から「甘露」と呼ばれる体液を排泄しますので、アブラムシの下の葉は油状の排泄物が付着してベタベタします(これにカビが繁殖して、黒くなった状態を「スス病」と呼んでいます)。


この甘露は甘いらしく、バラに限らずアリがこの体液を食べに木に上がって来ることがよくあります。この場合、アリ用の殺虫剤を撒いても根本原因にはなりませんので、アブラムシの方を退治すると、アリも同時にいなくなります。
2.アブラムシとは?

バラに寄生するアブラムシは、「モモアカアブラムシ」や「バラミドリアブラムシ」などもありますが、「イバラヒゲナガアブラムシ」の発生が最も多いようです。

イバラヒゲナガアブラムシは、アブラムシとしては比較的大きく、無翅虫で3mm、有翅虫で2.5mm程の大きさで、緑色〜黄緑色です。

バラの新梢先端の柔らかい部分や若葉、花蕾などに好んで寄生し、古い葉にはあまり寄生しないようです。

発生は3月下旬〜10月末位までで、5月中旬〜6月がピークになり、9月にも多く発生します。

生育適温は20℃位で、夏の高温下ではほとんど見られなくなります。

周年、バラの上で生活し、寄生転換(他の植物に寄生すること)はしないようです。

繁殖方法
移動方法

寄生している植物が弱ってくると、羽のあるものが現れ移動を開始します。

越冬方法

寒地では卵で、暖地では成・幼虫で越冬します。

関西では、卵と成虫での越冬が混在しています。

3.対策

一番手軽で効果のあるのは、各種粒剤です。「オルトラン粒剤」、「モスピラン粒剤」、「アドマイヤー粒剤」などです。

アブラムシも近年、薬剤抵抗性の話を聞くようになりました。

出来れば2種類の粒剤を用意して、交互に撒くようにします。それぞれの残効期間は3週間程ですので、春〜秋の間に、月に1回の施用をおすすめします。


アブラムシの天敵でよく知られているのは、テントウムシで、反対にアブラムシの味方はアリです。最初にも記しましたが、アリはアブラムシの排泄物である甘露を餌として巣に持ち帰ります。ですからアリはアブラムシを保護し、アブラムシの付いている植物が弱ってくると、元気な植物へとアブラムシを運んだり、アブラムシを食べようとするテントウムシを攻撃して追っぱらたりしています。

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