アザミウマ(スリップス)
1.加害状況

バラで問題となるのは、「ミカンキイロアザミウマ」と「ヒラズハナアザミウマ」です。
どちらも花に寄生して、花粉を食べて増殖します。
被害状況としては、花弁に好んで寄生し、吸収加害のため、バラの花弁や花弁の上の方が茶色く(汚く)なり、バラの花の美しさが損なわれます。また
傷口にカビが発生し、花弁が癒着するため、ボール状になって、上手く花弁が開かなくなってしまいます。

2.アザミウマ(スリップス)とは?
花びらの左と指にある黒い点がアザミウマです。  花の中には、無数のアザミウマが入っています。

「ミカンキイロアザミウマ」は、北米原産の帰化昆虫で、1990年に千葉県と埼玉県で初めて確認されたのを期に、近年増加傾向にあり、バラにつくアザミウマでは「ヒラズハナアザミウマ」より主体になってきています。

青色や黄色、白色の花の咲く品種に集中的に飛来し、赤色の花にはあまりつきません。蕾から花弁が少しでも開き始めると、成虫が飛来して産卵します。
   (飛翔能力は、自力で5m程度と言われています。)

活動は4月〜10月頃までで、ピークは5〜6月と、8〜9月です。

幼虫、成虫共に植物の表皮を加害し、かすり状の傷を付けます。

越冬方法

成虫で越冬します。

セイタカアワダチソウなどの雑草に寄生したり、土壌中に生息したりします。

低温は0℃から、高い方は45℃位は生息できるそうです。

3.対策

アザミウマは主に花弁の中にいて、ピョンピョンと飛んでいますので、噴霧する薬剤はほとんど効果がありません。薬剤を噴霧した瞬間に花の中に潜んでしまうからです。

そこで浸透移行性の粒剤が手軽で有効なのですが、「オルトラン粒剤」と「アドマイヤー粒剤」にはすでに抵抗性が出来ていて、効果が期待できません。
今、現在、唯一有効なものは、「モスピラン粒剤」だそうです。

またアザミウマは薬剤に対する抵抗性が発達していて、効果のある薬剤が少ないそうです。今流行りの「合成ピレスロイド系」の殺虫剤は効果が期待できないそうです。

有効なのは「有機リン系殺虫剤」、すなわち過去の殺虫剤のように思われていた「マラソン乳剤」や「スミチオン乳剤」が入手しやすくて、更に効果があります。
FUSHAが常時使っている同じ有機リン系の「アクテリック乳剤」も有効でした。

方法としては、スリップスは砂糖の甘みにおびき寄せられるというので、0.5%の砂糖水にそれぞれの有機リン系殺虫剤の適濃度を混入し、散布します。
すると散布時に花弁の中に隠れていたスリップスが、有機リン系殺虫剤入りの砂糖水を舐めに上がってきて死ぬという訳です。

この方法はかなり有効ですので、お手上げだったスリップス退治に絶対オススメです。

散布する際に注意するのは、バラだけでなく下に生えている雑草などにもいますので、庭中かけむらのないようしましょう。


最後に!

特にアザミウマが大発生している場合は、2番花以降〜10月初め位までの間は、徹底して摘花と雑草取りを行うと効果的です。

アザミウマは薬剤耐性が出やすいので、花を摘んだり、周囲の雑草を処分したりの方法とを組み合わせ、殺虫剤のみでの防除は最後の手段として用いる方が良いと思います。

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