枝枯病
1.枝枯病とは?
枝枯れ病(ステムキャンカー)

病原菌は主に傷口から侵入します(剪定や棘の欠損、害虫による加害部など)。

枝枯れ病と呼ばれる病気は3種類あります(全て、カビの仲間です)。

  1.ステムキャンカー(通常、よく目にする枝枯れ病はこれです)。
      コニオスリウム フッケリ (Coniothyrium fuckelii)

  2.ブラウンキャンカー(腐らん病ともいいます。たまに目にします)。
      クリプトスポレラ アンブリナ (Cryptosporella umbrina)

  3.ブランドキャンカー(主にランブラー ローズに、特殊な条件で発生しますが、
            ほとんど目にすることはありません)。
      コニオスリウム ウェルンスドルフィアエ 
               (Coniothyrium wernsdorffiae)

1.ステムキャンカー

発生時期は夏〜秋に多いです。

ハイブリッドティ ローズは、他の種類に比べると罹り易いようです。

ブラウンキャンカーより広く一般に見られますが、病状の進行はそれほど深刻ではない、と言われています。
しかし根腐れや根痛みなどで株に抵抗力がなくなっている場合は深刻な被害を受けますので注意しましょう。

柄胞子の発芽適温は20〜30℃です。

2.ブラウンキャンカー

冬から春にかけて湿度が高い状態にあると(越冬後の春に、あるいは秋に)、発生し易いようです。
通常、前年に成長した2年生の緑色の茎に発生します。

発生すると、ステムキャンカーに比べて症状の拡大が早く、広い範囲になります。

通常は茎に発生しますが、花や蕾、ローズヒップなども感染することがあり、翌年の感染源になります。

水浸状の褐色〜赤褐色の斑点が生じ、病班が拡大します。その後、全体が褐色になり、表面に黒い小粒点(胞子の殻・・・入れ物)を生じます。

ステムキャンカーに比べると、腐乱部分がごつごつして盛り上がった状態になります。

腐乱病(ブラウンキャンカー)
3.ブランドキャンカー

海外の文献に掲載されているだけで、日本では発生事例がなく、目にした事がない特殊な病気なので、省略します。

2.越冬方法

被害枝上に柄子殻の状態で越冬します。翌春、風雨等により飛散し、感染します。

3.対策

1. 秋や早春に感染部分や死んでいる枝を剪定します。ブラウンキャンカーは特に春の剪定が遅れないように注意します。

  剪定する時、感染部分より少なくとも5〜6cm下を、斜めに(切り口に水滴がたまらないように)切るようにします。また節よりあまり離れてカットすると、枯れてきて菌の感染口になるので、節より5mmほど上をカットします。

2. 使用する剪定鋏は漂白殺菌液(水:漂白剤=9:1)などに浸して殺菌します。
     
  漂白殺菌液というのは、FUSHAが勝手に名づけた名前ですが、手軽に作れて便利でオススメです。
  但し、使用後の剪定鋏はさび易くなっていますので、防錆剤を塗っておくことを忘れないようにします。

【その他注意することは?】

 @ 午後遅く、又は夕方の頭上からの散水と葉の洗浄は避けましょう。

 A 枝枯れ病菌は、傷口より侵入する病原菌ですので、なるべくバラの表皮を傷めないようにします。自らのトゲで傷つく、雨や風は大敵です。

 B 風通しが悪いと、水が乾きにくくなり、湿度が高く保たれますので、菌が繁殖しやすくなります。
   また日当たりが悪いと、枝が軟弱に育ち、表皮が薄くなって菌が侵入しやすくなります。

 C 手入れのされていないバラが近くにあると、これが感染源となりますので注意しましょう。

 D 夏期に枝を剪定する場合、特に台木との接合部分に近い場所の枝をカットするときは、必ず切り口に殺菌剤を塗りましょう(トップジンMペーストがとても便利です)。
   

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