ハダニ
1.ハダニの加害状況

高温で乾燥が続く6月以降になると、バラの葉に細かいかすり状の小さな点が広がります。
ハダニの密度が高まると茎葉の伸長が悪く、株がすくんだようになり、葉が枯れて落葉します。

葉裏
葉表
2.ハダニとは?

ハダニは昆虫とは別のクモの仲間です。
バラにつくハダニは、「ナミハダニ」と「カンザワハダニ」という種類です。
成虫(やや黒ずんだ感じの赤〜褐色)で0.5mm程、卵は0.15mm程です。
主に葉の裏にいて、葉の組織内を口器で破壊し、吸汁するので小さな白斑が点々と出来てかすり状になります。
春から秋に発生し、特に発生の多い時期は7〜8月の高温乾燥時です。

ハダニの繁殖方法
ハダニの移動方法

ハダニは活きの良い葉を好み、葉が枯れてくるとサッサと移動していきます。枯れた葉では生きていけないのです。

整枝作業で生じた葉や茎を放置すると、夏場なら1日で萎れるので、ハダニは見切りをつけてそこを離れます。

その結果、近くのバラにハダニが拡散していくのです。

ハダニの越冬方法

ハダニは寒冷地ではエサを食べずに、休眠して越冬します。逆に暖地では休眠しません。

関西は中間地点ということで、休眠するものと休眠しないものとが入り混じります。

休眠しない場合は、葉裏にいて冬も増え続けます。

休眠の場合は耐寒力は強まりますが、増える事はできません。エサを食べないので、雌成虫が葉裏から離れて落葉や下草、誘引紐などの間隙に入って越冬します。この雌成虫は、2月下旬〜4月中旬に順次越冬場所を離れ、剪定した切り口や芽に集まりますが、花芽の膨らむ3月下旬頃になると花芽の中に侵入して吸汁加害します。

3.ハダニ対策

ハダニは水に弱いので、バラに水やりする時にはこまめに葉裏に水をかけてハダニを飛ばしましょう。但し、1〜2時間で乾くような天候の時にして下さい。尚、夕方以降は黒点病の誘発にもつながりますので注意しましょう。

バラの周りにある雑草や、バラの下草を抜いた時は、そのまま放置せず、必ずビニール袋に入れて捨てるよう心がけましょう。

冬の剪定時期には、バラにくっついている葉はきれいにむしり取り、これもビニール袋に入れて捨てましょう。

ハダニが少し付いた位の場合は、まめに水をかけてホースで飛ばせば、それだけ70〜80%の軽減があります。

但し、クモの巣が張るほど多量に発生した場合は、殺ダニ剤を使わないと仕方がないです。現在、この殺ダニ剤で一番のオススメは「コロマイト」です。

また次に述べる薬剤抵抗性の観点から、「粘着くん液剤」(有効成分:でんぷん)もかなり有望かと思います。

          

粘着くん液剤・・・これはかなりの優れものです。
        他の害虫、特にアブラムシなどにも良いでしょう。
        少なくとも牛乳よりは。

ハダニの天敵とは?

 同じダニの仲間の「カブリダニ」などの小型の《クモ類》を始め、「カメムシ」、「ハネカクシ」、
      「テントウムシ」、「アザミウマ」

 カビ菌(病気)

 雨(台風や夕立などの雨風)

などです。

4.参考!

近年、ハダニ類の薬剤抵抗性が問題になっています。

薬剤抵抗性とは、ある害虫に対して同じ薬剤を使い続けると、その害虫に対して薬剤の効果が落ちてくる事を言いますが、ハダニは特にこの傾向が顕著です。

これは薬剤を散布することにより、ハダニに変化がおきて薬剤抵抗性を持つ、ということではありません。

薬剤抵抗性の問題を回避するためには、

  発生初期の防除を徹底し、散布回数を出来るだけ少なくします。

  作用機構の異なる薬剤を数種類用意して、それぞれを年に1回ずつ使用する。

等が言われていますが、家庭栽培ではなかなか難しいと思います。


 逆に薬剤以外の方法を主力として、薬剤使用は最後の手段に取っておく方が良いかと思います。
水かけでダニの数を減らす事により、天敵の活動を盛んにする事にもなります。

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