コガネムシ
1.加害状況

成虫は、バラの葉、花蕾、花弁、は花芯などを食害し(網目状になります)、幼虫は、カブトムシの幼虫と同じような形をしており(別名:根切り虫と言われます)、土中で根を食べて成長します。

そのため、バラはかなり激しく根を食べられるまで枯れないで、ある時期になって急に枯れる事が多いです。

2.コガネムシとは?

バラにつくコガネムシには、主に「マメコガネ」と「トウガネブイブイ」があります。

マメコガネ


「マメコガネ」は、体長1〜1.3cmの小型のコガネムシです。色は光沢のある緑色で、羽は赤茶色です。

昼間活動性で、日中盛んに飛び回り、葉や花びらなどを食害します。


1ヶ所に集まる習性があり、1匹の虫がいると、そこへ次々と集まってきます。

特に白および黄色系統など、淡色系の色彩を持つ花が加害されやすく、濃色系のものでは被害が少ないです。

名前は、マメ科の植物が好きだからだとか、ちなみに英名は【Japanese Beetle(日本のコガネムシ)】です。

・・・日本からアメリカに1920年頃侵入し、果樹などに甚大な被害を及ぼしたそうです。

   コガネムシはマメコガネに限らず、他のコガネムシ類もマメ科植物が好きだそうです。
トウガネブイブイ
「トウガネブイブイ」は、体長2cmくらいの大型のコガネムシで、色は銅色です。

灯火に誘われてよく飛来する習性がありますが、昼間でも食害します。体が大きく、摂食量が多いので、被害も大きくなります。
コガネムシの幼虫

成虫発生時期は、6〜10月頃(7〜8月がピーク)の年1回で、寿命は約1ヶ月ほどです。

 幼虫による根の食害は、1〜2令幼虫は比較的軽微で、3令幼虫による加害が大きいと言われています。

  ですから9〜10月頃の秋と越冬幼虫による4〜5月の春に被害が現れやすくなります。

3.対策

 成虫に対しては、これといった決め手が無く、見つけたらもっぱら捕殺するくらいです。
   (やたらと殺虫剤を散布するのも馬鹿げていますよね!)

 コガネムシの成虫の姿を見つけたら、付近に卵を産み付けた可能性が大きいので、「ダイアジノン粒剤」をバラの周りの土に混ぜておきます。

 特に鉢植えのバラは、根が鉢の中に集中しているため、ある段階まで進んでくると、葉につやが無くなり、土もベターっとして、粒が細かくなり、水をやっても乾かなくなってきます。

  このような感じになったら、土中にコガネムシのいる可能性が高いので、念のため「ダイアジノン粒剤」を撒いておいた方が良いと思います。

  コガネムシの幼虫は、気温の高い時期は地表面近くにいます。また、幼虫もそれ程大きくなっていないため、
気温の高い季節の方が効果的です。

 「ダイアジノン粒剤」は、効果はそれ程長く持続しないようなので、予防というより、【殺幼虫剤】として使用したほうが良いと思います。

付録

 土中の幼虫の糸状菌による感染率は高いそうなので、緑色のカビが生えて死亡した幼虫を見つけたら、土中に埋め戻しておくと良いそうです。(かなり気持ち悪いですが〜

参考 1

徳島県で、誘引物質によるコガネムシ類の誘殺(コガネムシトラップ)が実施され、効果をあげているそうです。

参考 2  生物農薬

2005年9月現在、コガネムシの幼虫に対して、次の様な生物農薬が開発されています(幼虫を殺す事により、成虫発生密度を低くするという考えで)。

商品名 バイオトピア

スタイナーネマ・グラセライという線虫で、線虫が土壌中を自ら動き回って、コガネムシに寄生して殺すそうです。


商品名 ブイハンター フロアブル(バチルス・チューリンゲンシス菌の生芽胞
                     及び産生結晶毒素10%)

枯草菌や納豆菌の一種で、バチルス・チューリンゲンシスが作る殺虫性タンパク質を利用しています(BT剤といいます)

もともとヨトウムシやアメリカシロヒトリなどを対象にしていましたが、これはコガネムシ専用で、アルカリ性消化液を持つコガネムシの幼虫が、BT剤の付着した植物根を食べると、殺虫性タンパク質が活性化して死んでしまうそうです。また人間など哺乳類やミツバチなど酸性の消化液を持つものには毒性は現れず、安全だそうです。


生物農薬の今後

生物農薬は一般に環境や人畜への影響が少なく、害虫の抵抗性や病原菌の耐性が発達しにくいなどの優れた特徴がある反面、効果が出るまで時間がかかる、薬剤の値段が高い、使用方法に制限があるなどの短所もありますが、今後徐々に増えていくと思われます。

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