黒点病(黒星病)
1.症状は?

下葉からの発生が多く、葉脈にそっての黒斑や、円形の黒斑が入り、後に葉が黄変、落葉します。
また葉柄や茎にも発生します。

2.病気の原因は?

ディプロカルポン ロザエ(Diplocarpon rosae)というカビの仲間です。
 ・・・子のうという袋の中に、胞子を作る子のう菌です。

ここに病原菌がいて、自分のコピー(分生子という胞子)を作り続けます。

このようにしてどんどん広がっていきますが、胞子が葉の上に付いていても、水がなければ発芽する事は出来ず、発芽しても更に水が5時間程度ないと、感染させることは出来ず、途中で死んでしまいます。

逆に言えば、5時間以上葉を濡らさなければ、黒点病は広がる事はありません。

また最適温度は21℃前後(20〜25℃)で、5〜7月と9月以降に発生しやすくなり、30℃を越える真夏はあまり発病しなくなります。

この分生子という胞子が、雨風によって飛散し、新しい葉の上で菌糸を伸ばして発病させ、同じように自分のコピー(分生子)を作り始めます

黒点病の活動期、すなわち黒点病の菌にとって条件の良い時は、自分のコピーを作ることによって、より速く子孫を多く残す事が可能となります。

冬は黒点病菌にとって、つらい季節です。
何とか生き延びようとします。
一つは枝の病班部分に菌糸の形で越冬します。
もう一つは落ち葉の上の黒点部分に、自分の子供(子嚢という胞子・・・当然、親とは多少性格が異なります)を作って越冬します《下図参照》。
子供(子嚢胞子)は、分生子(コピー)と違って、親と少しずつ違ったものが生まれてきます。
その中には前と少し違う環境に強いものや、薬品に対する耐性を持ったものなども出てきます。
そして春になったら、色々な子供が、それぞれ自分のコピーをどんどん作り始め、薬品や環境に適応したものが生き残って増えていくというパターンになります。

これらの事から黒点病の対策として、次のような事が考えられます。

なるべく葉を濡らさないようにします。うどん粉病やハダニ対策で水やりする際は、数時間以内には乾くような条件下で行いましょう。夕方以降は、避けること!

冬期の整枝・剪定、誘引には葉を全てむしり取って、茎には葉を1枚も残さないようにきれいにしておくことが大切です。当然、土の上に落ちた葉もきれいに取り去っておきます。この作業が翌年の黒点病予防にかなり有効となります。

黒点病に罹ってしまったら、その対策として以下の事が有望です。

1.  感染した葉は直ちに取り除きます。当然落ちた葉もすぐに取り去りましょう。
感染がひどい場合は、茎にも症状が現れますが、これは越冬胞子の巣となりますので剪定します。

2. 鉢植えの場合、雨の当たらない場所に移動すること。
  ( ビニールハウスやガラスハウスでの栽培では、黒点病は全く出ません!!)

3. 土からの菌の跳ね返りを防ぐために、マルチング《春〜秋の間、2〜3ヶ月毎に表土を軽くさらった上で、地表にFUSHAの花の土(ピートモスでも可)を散布》すると上根を保護する上でも効果的です。

4. 下記、薬剤の散布。

黒点病の予防には「ダコニール」、治療には「サプロール乳剤」が有効ですが、FUSHAでは予防効果と治療効果を併せ持った「マネージ乳剤」をオススメしています。
現在使用している薬品がどうも上手く効いてこないと思われる場合は、薬剤耐性の点から考えて別の薬品に変えてみる必要があります。

5.高い位置にあるつるバラのアーチなどに黒点病が発生した場合は、先ず、その高い位置にある黒点病を根治させないことには、いくら低い場所にあるバラに薬を撒いても治りません。

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