うどんこ病
1、症状は?

葉の表面が何となくうっすらと白くなり、次第に濃くなり、小麦粉をまぶしたようになります。
また葉が波打ったようになります。
花首にも発生しやすく、ひどくなると葉は縮れ、弱ってきます。また花首の場合は、花が十分に咲かなくなります。これは春5〜6月と秋9〜10月に、新しく伸びてきた新芽に発生する場合が多いです。

2、病気の原因は?

スファエロセカ パンノサ(Sphaerotheca pannosa)というカビの仲間です。
・・・子嚢という袋の中に胞子を作る子嚢菌です。

うどんこ病菌は低温(約20℃程度)で多湿(97〜99%)な夜間に胞子が発芽、感染します。
・・・夜間乾燥状態(夜間湿度70%以下)では発芽しにくくなります。

そして比較的高温(27〜28℃)で乾燥(40〜70%)した日中に、コピー(分生胞子)どんどん作り、風に乗せて飛散させます。
・・・日中湿度が高すぎると、コピーが作れなくなります(特に葉が濡れていると)。

バラの表面で胞子が発芽すると、葉の表面に菌糸を広げます。そして「吸器」と呼ばれる寄生根を所々に侵入させて養分を吸収します。

うどんこ病菌は?!

1.うどんこ病は多くの植物に発生しますが、多くの種類があり、主にそれぞれ違う植物にしか寄生しません。
  バラのうどんこ病は、バラにしか発生しません。
  すなわち近くにうどんこ病に罹った「栗の木」や「さるすべり」があっても、バラには移りません。
  但し、うどんこ病の発生し易い環境にはあります!!

2.うどんこ病菌は、生きている植物にしか寄生しません。

3.うどんこ病菌は、植物の表面で繁殖します。
  うどん粉のように白く見えるのは、自分のコピーである「分生胞子」のせいで白く見えています。
  冬、休眠芽で越冬する場合は、菌糸の状態で越冬するので、白くは見えません。

4.うどんこ病菌は、「とても進化した菌」と言われ、すばやく感染・発病しますが、進化しているだけあって、自分を養ってくれているバラを枯らす程のことはないようです。

5.うどんこ病菌は、他の病原菌と比べるととても変わっていて、他の病原菌は植物の体内に入って、菌糸を伸ばしながら生育していきますが、うどんこ病菌は付着した胞子が植物体の表面で菌糸を伸ばして新たな分生胞子を作り、所々で表皮を貫通して植物細包内に作った吸器という器官で栄養分を摂取します。

6.もう一つの特徴は、比較的乾燥した条件で発生する事です。
 他の病原菌と同様に胞子が発芽するためには、水分が必要ですが、うどんこ病菌の分生胞子は細包壁の厚さが薄く、空気中からでも容易に水分を取り込む事が出来るため、植物体表面に水滴がなくても、湿度40〜90%という条件下でも発芽、発病させることが出来るのです。

3.対策

農薬を用いない最も手軽な防除は、葉面への水道水散布です。勢いよく放水すればハダニの防除にもなり、一石二鳥です。ただし、散水後の水は黒点病を発生させないために数時間以内に乾く必要があります。晴天の日の朝方を狙って行ってください。夕方の散水は避けましょう。

また鉢植えのバラは、日当たりの特に良い場所や、風通しの良い場所への移動で、病兆は50%以上改善します。

うどん粉病に有効な薬剤として、「ミラネシン水溶剤」がありますが、これは治療効果のみのため、最近では予防効果と治療効果を併せ持った「パンチョTF顆粒水和剤」をオススメしています。

うどん粉病で花首に発生した場合は、薬剤を散布してもなかなか取れ難いものです。出来たら薬剤を浸したティッシュペーパーで拭き取ってやると簡単に防除できます(水でも多少の効果はあります)。

【注意!】サプロール乳剤の外箱に「うどん粉病に」と、書かれていますが、現在、これは効果が無いので注意して下さい。サプロールは、黒点病に有効です。

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